ファクタリングは売掛金を回収期限前に売却して資金化する取引なので、このような場合に利用されます。
1.売掛金の回収サイトが長い
売上は順調に上がっていても、入金までの回収サイトが長く、常に支払いに追われている場合、ファクタリングを利用することにより、実質的な売掛金の回収サイトを短縮でき、計画的な資金繰りが可能となり、資金繰りが安定します。
2.金融機関からの借入が難しい
経営状況が厳しく、銀行が追加融資をしてくれない。設立後まもなく、銀行取引ができない。ビジネスローンの審査も落とされた等金融機関からの借入が難しい場合でも、ファクタリングなら売掛金の信用状況が重視されるため資金調達が可能となります。
3.予想外の出来事で急な資金需要ができた。
急に大規模な受注を受けたり、得意先が倒産したといった場合、金融機関からの借入では、手続きに時間がかかり、支払いに間に合わないことがあります。ファクタリングは資金化までの手続が早いため(最短では即日!)このような場合の資金調達手段として役立ちます。
4.大企業のお得意様が多い
大手ゼネコンや自動車メーカーの下請け等、得意先が大企業の場合、売掛金の信用が高く評価されます。そのため、ファクタリングを行った場合、掛目が良くなるケースが多く、さらに得意先が少数で売掛金総額の大半を占めるケースでは、諸経費の一部(審査料や登記費用)は売掛金の金額に係らず一定であるため、コストが下がり更に有利な資金調達ができます。
資金繰り表の作り方

ファクタリングその他の方法で資金調達をする前に、どの時点でどれくらいのお金が必要になるのか事前に資金繰りを把握しておく必要があります。
1.利用目的を明確にして、作成する資金繰り表の時間軸(日時、週次、月次)を決める
資金繰り表を作成する前に、まず資金繰り表の利用目的を明確にして、作成する資金繰り表の時間軸(日次、週次、月次等)を決める必要があります。作成する時間軸によって、用意する資料やどこまで正確に作成するかが異なってきますので、まずはじめに決めます。
例えば・・
①資金状況がぎりぎりで正確に何月何日にいくら足りなくなるか知りたい
②資金残高自体は十分あるので、おおまかに月次で資金の需給の傾向がわかれば十分
③支払、入金の期日が月末等に集中しているので、毎日までの情報は必要ない
このように、作成する事業主様それぞれで、資金繰り表の利用目的が異なると思います。
①の場合であれば、日々の資金の収支状況が必要なので日次での資金繰り表の作成が必要となり
②であれば、月次の資金繰り表で資金の需給の傾向がつかめれば良く
③であれば、週ごと、又は月末とそれ以外に区分して資金繰り表を作成するほうが効率的かもしれません。
このように、資金繰り表の利用目的を決めて、作成する時間軸がきまったら、次のステップに進みます。
2.必要な情報・資料をそろえる
資金繰り表作成というと何だか難しそうな感じがしますが、作成に必要な情報は以下の3点です。
①現在の資金残高
預金通帳や、現金出納簿等で現在の資金残高を把握します
②将来の収入の情報(入金日、入金額)
業種、業態によって、把握するのが簡単な方と困難な方がいると思います。
この部分の把握が一番難しく、また、資金繰り表の精度を決める重要ポイントになります。得意先がある程度決まっている場合には予定されている入金日、入金額がわかりますが、小売り等で入金予定が不明な場合には、過去の実績等を根拠に見積ることになります。資金繰り表の一番の目的は「将来の資金不足を事前に把握する」ことですので、入金予測は控えめに見積もります。
<将来の収入リスト>
・売上に関する収入(現金入金、売掛金回収入金、受取手形入金、前受金)
・資金調達による収入(ファクタリングによる収入、銀行借入による収入)
・その以外の収入(不動産等の売却収入、保険や定期預金の解約、社宅からの収入等で上記以外の収入)
③将来の支出の情報(支払日、支払額)
支出に関しては、預金口座、請求書や金融機関からの借入がある場合には返済計画書等の資料から過去の実績を踏まえ判断していくことになります。この部分に関しては、資金繰り表に求める精度に応じて、各費用項目ごとに金額を算定する方法や、人件費、経費等カテゴリー分けして算定する方法もあります。
費用についての注意点は、毎月発生する費用ではないが、金額の大きい費用の把握です。例えば賞与や税金、予定している設備投資や修繕等の支出や年払いの保険料です。これらは毎月発生する訳ではないので、つい忘れがちになりますが、忘れると資金計画が大きく狂ってしまうので注意が必要です。
<将来の支出リスト>項目が多いのでモレが無いよう要注意!
・仕入支出(現金仕入、買掛金の支払い、支払手形の決済、前渡金)
・人件費(給与、各種手当、賞与、役員報酬)
・その他経費(人件費除く経費、賃貸料、水道光熱費、交際費、広告宣伝費等、項目が多いのでモレが無いよう要注意!)
・税金(法人税、地方税、事業税、消費税、固定資産税、源泉税等の支払い)
・資金調達に関する支払(借入金の返済、利息支払い等)
3.資金繰り表の作成
上記資料がそろったら、実際に資金繰り表を作成していきます。実際にはエクセルでこのようなイメージで作成します。
(必要に応じ、エクセルに張り付けて合計欄の計算式を調整してご利用下さい)
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日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
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前日より繰越 |
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○○○ |
△△△ |
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営業収入 |
現金入金 |
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売掛金回収入金 |
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受取手形期日入金 |
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前受金入金 |
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その他入金 |
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予備 |
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予備 |
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営業収入合計 |
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営業支出 |
現金仕入 |
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買掛金支払 |
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支払手形決済 |
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前渡金支出 |
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人件費支出 |
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その他経費支払 |
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税金支払 |
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予備 |
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予備 |
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営業支出合計 |
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営業収支 |
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財務収入 |
ファクタリング入金 |
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借入金入金 |
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予備 |
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財務収入合計 |
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財務支出 |
借入金返済支出 |
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ファクタリング手数料支払 |
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借入金利息支払い |
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予備 |
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財務支出合計 |
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財務収支 |
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収支過不足 |
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翌日へ繰越 |
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○○○ |
△△△ |
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ここで作成上注意するポイントが3つあります。
①一番下の「翌日へ繰越」欄の金額を、翌日の「前日より繰越」欄に転記すること(上記シートの ○○○、△△△の要領です)
②「翌日へ繰越」欄の金額が当日の資金残高と金額が一致するように「収支過不足」欄で金額を調整すること
③収入・支出ともに「予備欄」を設けておく
です。①については特に説明は不要だと思いますが、②については、その都度作業が必要になるので、ついつい忘れがちになってしまう項目です。これをしないと繰り越していく資金残高自体が不正確になり、資金繰り表を作成する意味がなくなります。忘れずに翌日へ繰り越す金額が実際の資金残高に一致するよう金額を修正していきましょう。
③については、実際作成してから項目が漏れている場合に後から追加して記入するのが楽なので、事前に作っておいた方が良いです(エクセルなので後から追加もできますが、後から追加するとやり方次第では、計算式の集計モレ等が起こりやすいです、見た目気になるようであれば普段は非表示にしておきましょう)

